着物にストールやショールを取り入れると、防寒や日よけとしてだけでなく、コーディネートのアクセントとしても活躍します。
洋装とは異なり、着物に合わせるストールやショールには少し工夫が必要です。
素材や色柄、巻き方を工夫することで、和装の魅力を引き立てながら機能的に使えます。
この記事では、季節やシーンに応じたストールやショールの選び方や、着物との合わせ方のポイントをご紹介します。
ストールやショールを使うシーンと目的
11月に入りショールや薄手の #羽織 が必需品となってきました☆朝晩は肌寒いことも多いので、外出時にはサッと羽織れるものがあると安心です☺ショールやストールはお手持ちの洋服用でもOK🎵大判のものであれば、すっぽりと肩から背中までを覆えるので暖かくて快適ですよ✨#いち瑠 #着付け教室 pic.twitter.com/pRw4doeBFV
— きもの着方教室 いち瑠 (@kimono_ichiru) November 3, 2021
まずは、ストールやショールを使う目的を考えてみましょう。
一般的に、以下のようなシーンで活用されます。
- 防寒対策:秋や冬の冷え込む季節に、肩や首元を温めるために使用します。厚手の素材や暖色系を選ぶと、防寒しながら華やかさをプラスできます。
- 日よけや軽い防寒:春や夏には、日差しよけやエアコンの効いた室内での軽い防寒に使います。薄手で透け感のある素材が適しています。
- コーディネートのアクセント:無地や控えめな柄の着物に彩りを加えるアイテムとしても活躍します。ショールやストールのデザイン次第で、華やかさや落ち着きを演出できます。
季節別のストールやショールの選び方
ストールやショールの選び方を季節によって解説します。
春・夏のストールやショールの選び方
暖かい季節には、見た目にも涼しさを感じさせる軽やかな素材や明るい色合いのものが好まれます。
春や夏には、リネンやシルク、絽や紗といった通気性が良く、軽やかな素材が適しています。
これらの素材は涼しげで、見た目にも季節感を演出してくれます。
春には桜や梅をイメージした淡いピンクや白、クリーム色などの優しい色合いのショールが人気です。
一方、夏には青や緑、薄いグレーといった涼しげな色合いがおすすめ。
透け感のある素材や、風を感じるような花柄や波模様など、軽やかなデザインが季節にぴったりです。
春はまだ肌寒い日もあるため、防寒とアクセントを兼ねたショールが役立ちます。
夏はエアコンの効いた室内や日差し避けとして薄手のストールが便利です。
秋・冬のストールやショールの選び方
寒い季節には、防寒性を重視した素材や暖かみのある色合いのものを選びます。
秋や冬には、ウールやカシミア、ベルベット、フリースなど、保温性の高い素材が適しています。
柔らかな肌触りのショールは見た目にも上品で温かさを感じさせます。
秋は紅葉を思わせる深い赤やオレンジ、茶色、冬には落ち着いた黒やグレー、温かみを感じるベージュやクリーム色がおすすめです。
刺繍や金銀糸を使った華やかなデザインも、特別なシーンに映えます。
秋冬は肩周りをしっかり包み込める大判のショールが便利です。
外出時の防寒はもちろん、屋内でも羽織ることで着物全体のコーディネートが完成します。
季節を超えて活躍するアイテム
シルクや麻混のショールは、春夏の軽やかさだけでなく、秋冬にもレイヤードとして使える万能素材です。
特にシンプルな無地のストールは、どの季節にも対応しやすいアイテムです。
季節感を大切にしつつ、着物の柄や色とのバランスを考えて選ぶと、どのシーズンでも洗練された装いになります。
シーズンに合わせた素材感や色味を選びながら、自分らしいコーディネートを楽しみましょう。
素材選びのポイント
ストールやショールの素材は、季節だけでなく、着物の種類や場の格式にも合わせて選ぶ必要があります。
以下に主な素材ごとの特徴をまとめました。
- シルク:フォーマルなシーンにぴったりの高級感があります。光沢があり、上品な印象を与えます。
- ウールやカシミア:秋冬の防寒に最適で、柔らかな肌触りが特徴。普段着や少し改まった場にも合わせやすい素材です。
- 絽や紗:透け感が美しく、夏の着物にぴったりの素材です。軽く涼しげな印象を与えます。
- リネンや麻:ナチュラルで軽やかな素材感が、カジュアルな着物や浴衣に合います。
ストールやショールの巻き方
着物にストールやショールを合わせる際は、巻き方も重要です。
洋服とは異なり、着物は帯があるため、巻き方を工夫する必要があります。以下の方法がおすすめです。
- 肩に軽くかけるスタイル
肩にふんわりとかけ、両端を前で垂らすシンプルなスタイルは、どんな着物にも合わせやすい方法です。特にフォーマルな場では、このスタイルが品よく見えます。 - 帯の上に結ぶスタイル
ショールの両端を帯の上で軽く結ぶと、動きやすさと防寒を両立できます。シンプルな着物にアクセントを加えたいときにも便利です。 - 肩にかけてピンで留めるスタイル
防寒重視の場合、肩にショールをかけてブローチや和装ピンで固定すると安定します。風の強い日や屋外でのイベントにおすすめです。
シーン別のストールやショールの選び方
ストールやショールは、シーンに応じて適切な素材やデザインを選ぶことで、和装全体の印象をより引き立てることができます。
以下に、主なシーンごとに適した選び方をご紹介します。
フォーマルなシーン
結婚式、披露宴、茶会、成人式などのフォーマルな場では、上品で格式を感じさせるストールやショールが求められます。
シルクや金襴、刺繍が施された華やかな素材が適しています。
光沢のある素材は、着物の格に合わせた気品をプラスします。
フォーマルシーンには、白、金、銀、または薄いパステルカラーのものがよく選ばれます。
控えめな色合いが着物全体を引き立て、場の格式にも馴染みます。
無地やシンプルな刺繍が施されたデザインが主流です。
華美すぎず、あくまで着物を主役にするスタイルが好まれます。
肩にふわりとかけるか、帯の上で軽く結ぶスタイルで品よく仕上げましょう。
カジュアルなシーン
観光、買い物、友人との食事会などのカジュアルなシーンでは、動きやすさや実用性を重視したストールが役立ちます。
リネン、コットン、麻、ウールなど、日常使いに適した素材が最適です。
軽くて扱いやすい素材を選ぶと、長時間の外出でも快適です。
落ち着いた色合い(ベージュ、ブラウン、ネイビー)や、アクセントになるような明るい色のストールもおすすめです。
着物の柄や帯の色に合わせて選ぶと統一感が出ます。
花柄や幾何学模様、カジュアルな刺繍が入ったものなど、遊び心のあるデザインが映えます。
肩にかけるだけでなく、帯の上で留める、またはバッグに結ぶスタイルも取り入れると便利です。
季節のイベント
季節のイベントに合わせたストール選びも大切です。
春や夏には軽やかなリネンや透け感のある絽、紗などの素材が涼しげな印象を与えます。
春には桜や草花、夏には波模様や青海波柄など季節のモチーフを取り入れることで、着物コーディネートに季節感を演出できます。
秋冬には保温性の高いウールやカシミア、ベルベットを選び、紅葉柄や雪の結晶模様などを加えることで季節の雰囲気を楽しむことができます。
室内イベントやパーティー
室内イベントやパーティーでは、軽やかで装飾性のあるストールがポイントです。
シルクやレース、薄手のウールなどの素材が華やかでありながら快適に過ごせるのでおすすめです。
パーティーの雰囲気に合わせて、パールホワイトやシルバーなど控えめながらも品のある色合いを選ぶとよいでしょう。
刺繍やビーズ装飾のあるデザインも、パーティースタイルに華やかさを添えてくれます。
肩に軽くかけて両端を揃えて垂らすシンプルな使い方でエレガントな印象を演出できます。
ストールやショールを選ぶ際の注意点
ストールやショールの素材は、着物やシーンに合わせて慎重に選びましょう。
例えば、フォーマルな場ではシルクや金襴などの高級感のある素材が適しています。
一方で、カジュアルなシーンではリネンやウール、コットンなど、扱いやすく軽やかな素材が便利です。
また、季節感を出すために、春夏には涼しげな絽や紗、秋冬には保温性の高いベルベットやカシミアを選ぶと良いでしょう。
色のバランスに配慮する
着物との色のバランスは重要です。
ストールやショールが着物の色を引き立てるようにするのが理想で、同系色で統一感を持たせるか、差し色を取り入れてアクセントを加えることがポイントです。
ただし、過度に派手な色を選ぶと着物の品格が損なわれることがあるため注意が必要です。
フォーマルな場では白や金、シルバーなど控えめで上品な色を、カジュアルな場では明るい色や柄物を取り入れるのもおすすめです。
柄とデザインの調和
着物自体に柄が多い場合、無地や控えめなデザインのストールを選ぶことで、全体の調和が保たれます。
一方で、着物がシンプルなデザインの場合には、花柄や幾何学模様、刺繍などの装飾が入ったストールで華やかさをプラスできます。
ただし、柄同士がぶつかり合わないよう、全体のバランスを考えることが大切です。
着物の格に合わせる
ストールやショールは着物の格に応じて選ぶことが基本です。
フォーマルな訪問着や留袖には、豪華で品のある素材やデザインがふさわしいですが、普段着や小紋には軽やかで親しみやすいデザインが似合います。
同じストールでも格が合わないと全体のバランスが崩れてしまうため、使用する場の格式を考慮して選びましょう。
着付けとの相性
ストールやショールは着付けの邪魔にならないように選びます。
特に、肩や胸元に掛ける場合、着崩れを防ぐために軽量で柔らかい素材を選ぶと良いでしょう。
また、帯周りに装飾する場合は、帯締めや帯留めとの色や素材の調和にも気を配りましょう。
天候や季節に対応する
季節や天候を考慮して選ぶことも重要です。
雨の日には水を弾く加工が施された素材や、湿気に強いストールが便利です。
風が強い日には、肩からずれにくいデザインを選ぶと快適に過ごせます。
季節ごとの温度差を考え、春夏には軽やかな素材を、秋冬には暖かい素材を選ぶことで快適性を保つことができます。
まとめ
ストールやショールは、防寒や日よけの役割を果たすだけでなく、着物の魅力を引き立てる大切なアイテムです。
季節やシーン、着物の種類に応じて素材や色、デザインを選ぶことで、より洗練されたコーディネートが完成します。
巻き方にも工夫を凝らし、着物の美しさを活かしつつ、機能的でおしゃれなスタイルを楽しみましょう。
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